IBM 現場SEのITな日々

IBM現場SEが日々駆使している技術、現場SEの経験・知見を綴るブログです

(鈴木)サーバ系のインフラSEでxCATは知っていて損はないOSS

鈴木です。

私自身、IBMに入社して以来、主にサーバ系のインフラSEとして活動を続けてきました。

インフラSEというと、サーバの電源ON/OFFや、OS導入といった、いわゆる単純作業がつきもの。その割には、サーバの台数が多くなってくるとコストがかさむ箇所も、この作業だったりしますよね。

今でこそ、一子相伝の自動化スクリプトや、Chefなどが出てきましたが、これらはどちらかというとOSより。

HW自体の操作などは、やはり人手が必要になりがちです。

このような状況の中、HWレイヤーからOSレイヤーまで自動化したい方にご紹介したいOSSがあります。

1.xCATとは

「xCAT」は、Extreme Cloud Administration Toolkitの略で、いわゆる「大規模クラスター」向けに開発された管理ツールです。

ここで言う「大規模クラスター」とは、例えば以下のようなもの。

  • HPC(High Performance Computing)
  • オンラインゲーム
  • クラウド etc...

いわゆる同じ機能や設定を持った大量のサーバ群のプロビジョニング(OS、MWなどの自動導入、設定)や、HW操作を一括管理することを、xCATは得意としています。

なお、公式HPを見る限り、2011年あたりから実用化されているように見えますね。(私自身、xCATが実稼動環境で使われているのを見たのは、この頃からです)

2.xCATができること

公式HPから抜粋しちゃいますが、xCATの主な機能は以下のとおり。(参考:https://xcat.org/

  1. Provision Operating Systems on physical or virtual machines: RHEL, CentOS, Fedora, SLES, Ubuntu, AIX, Windows, VMWare, KVM, PowerVM, PowerKVM, zVM.
  2. Provision using scripted install, stateless, statelite, iSCSI, or cloning
  3. Remotely manage systems: lights-out management, remote console, and distributed shell support
  4. Quickly configure and control management node services: DNS, HTTP, DHCP, TFTP, NFS

上記を見ると分かるとおり、xCATは主要なインフラコンポーネントの大半をカバーしていることが分かります。これだけの機能を全て使いこなせたら素晴らしいだろうな・・・と常々思っている次第(笑)

別記事で紹介する予定ですが、私はxCATで約400台の物理サーバに対してOSプロビジョニングとHW管理する環境を実装しました。

ただ、クローニングや仮想化環境のプロビジョニングまでには至っていないので、今後試す機会があれば、それも随時紹介していきたいと思っています。

3.xCATの知識を身に着ける前に覚えておきたい推奨知識

xCATは、HW管理とプロビジョニング機能を併せ持ったOSSであることを紹介しました。

HW管理の箇所についてはコマンドと機能を覚える程度なので、そこまで深い知識は必要ありません。

一方で、プロビジョニング機能に関する知識を身に着けていこうとすると、事前に知っておいた方が理解が早まる知識があります。 それが、「キックスタートファイル(ksファイル)を使ったOSのネットワークインストール(NWインストール)」。

例えばRHEL系のOSインストールなどの場合は、事前にどのような設定でインストールするのかを記述した「ksファイル」を作成しておくことで、いちいちインストール画面での入力を必要とせず、OSを自動インストール、自動設定することができます。

また、NWインストールすることで、CD/DVDでインストールする時より遥かに早い時間でOSインストールを完了できます。

これを合わせ技として実装したものが、、「キックスタートファイル(ksファイル)を使ったOSのネットワークインストール(NWインストール)」です。

実は、xCATもプロビジョニングの際は、同じような原理で動作します。(若干、設定箇所が違うくらい) 。

なので、もし時間がある方は、「キックスタートファイル(ksファイル)を使ったOSのネットワークインストール(NWインストール)」についても知識を得ておくと良いかもしれませんね。 (もしかすると、私の方でこの記事も書く・・・かも)

4.おわりに

今回はxCATについて以下を紹介しました。

  • xCATができること
  • xCATの前提知識

なお、xCATについてWeb検索しても、公式HP以外あまり詳しい情報は出てこないですね。マイナーOSSってことですかね(笑)

とはいっても、自動化を推進したいと思っている方にとっては、覚えておいて損はないスキル。このブログを通しても、基本的な設定方法や使い方を紹介していきたいと思います。

 

この記事の執筆者 :鈴木

2008年にIBMに入社。 長くエンタープライズのお客様を複数担当。最近はHPC分野を経て金融のお客様を担当。 Unix/Linux系がメインスキル。 最近は、InfinibandやOSS(Zabbix, xCATなど)など社内スキル保有者が少ないレアキャラを目指して活動中。 夜は焼鳥の匂いに誘われて焼酎1杯だけ立ち飲みして帰る純情派のインフラSE。 焼鳥の味付けは塩。